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創業レポート/地元経営者に聞く

創業レポート

総社で育む安心とワクワクの暮らし——デイサービスSodaの挑戦

デイサービスSoda/2024年(令和6年)開業

“そうだ、一緒にやってみよう!”をコンセプトに、地域に開かれた「やりたいことに挑戦できるデイサービス」として誕生した『デイサービスSoda』(総社市総社3丁目1-14)。2024年8月の開所から1年、利用者一人ひとりに寄り添いながら歩みを重ねてきました。
オーナーの土井さん(合同会社28代表)に、これまでの歩みや創業地として総社を選んだ理由、そしてこれからの展望について伺いました。

 

 

 

「支える側でありたい」——Sodaを立ち上げた土井さんの原点

 

岡山県倉敷市出身の土井脩平さん。県立広島大学で理学療法を学んだのち、岡山市の病院や愛知県の介護事業所、旅行会社で経験を重ね、2024年に総社で「デイサービスSoda」を開業しました。

 

この道を志したきっかけは、小学生時代にあります。サッカー少年だった当時、怪我が多く、病院で理学療法士に支えてもらった経験が原点でした。「自分も誰かを支えられる縁の下の力持ちになりたい」と思うようになったといいます。

 

「高齢者が増えていく日本社会で、理学療法の知識を活かせると思いました。病気や怪我、老いによってできなくなったことを、またできるようにするのがリハビリテーションです。僕らはその人の人生や生きがいに伴走できる。そこに魅力を感じましたね」

 

自分が目立つよりも、利用者の思いや興味に寄り添い、背中を押すことにこそやりがいがあるといいます。「主役は僕ではなく、利用者さん。皆さんがやりたいことをもう一度できるようにするのが僕らの役割なんです」

 

一方で、メディアに取り上げられる機会も増えましたが、「実は人前に出るのは苦手で、できれば避けたいくらいなんです」と笑います。あくまでも根底にあるのは“支える側でありたい”という思い。デイサービスSodaには、そんな土井さんの細やかな配慮が散りばめられています。

 

 

 

 

 

日常と非日常を行き来する、Sodaならではの体験

 

「いつもいつも『そうだ、一緒にやってみよう!』ばかりだと、疲れちゃう(笑)」

Sodaでは、頑張らなくても、無理をしなくても大丈夫。ひとりになりたい時は別の部屋で過ごしてもいいのです。

 

「一緒に話すとか作業するだけが、心が通っているということではないと思うんです。同じ空間を共有し、お互いの存在を近くに感じるだけでも、心はつながっている。会話していなくても違和感のない空間づくりを大切にしています」

 

安心できる日常の中に、時々ふっと非日常のワクワクがやってくる。さりげない後押しと細やかな心配りに支えられながら、Sodaの利用者さんたちの間には、自然と小さな化学反応が生まれています。

 

「私もちょっとやってみようかな」「思ったより楽しいな」——最初は自分から行動できない人も、周囲との関わりの中で新しい刺激を得ていきます。一人で家にいるだけでは出会えない発見と、家にいる時のような安心感。その行き来を楽しむ時間が、ここにはあります。

 

「病院の理学療法では、担当が時間ごとに決まっていて、基本は1対1の個別介入。何か活動するときも、みんなで同じことをするのが一般的です。でも、それだと新しいアイディアや偶然の出来事が生まれにくい。それぞれのやりたいこと、自分でも気づいていないような才能や発見を楽しみながら、日々を過ごしてほしいと思っています」

 

 

 

 

Sodaで大事にしているキーワードの一つに「送迎」があります。要介護認定を受けた方は移動が難しいことが多いため、日々の送り迎えだけでなく、買い物などのちょっとした外出や県外への旅行にも同行します。Sodaの中で完結するのではなく、Sodaを拠点に外へ広がっていくことを大事にしているのです。

 

Sodaでは、旅行会社を通して旅行を提供しています。3カ月に一度ほどのペースで実施し、利用者さんだけでなく、地域の高齢者の方からの依頼にも応えています。

 

「旅行は大好きです。知らないことを知るのが楽しくて。同じ日本でも、地域が違えば言葉や文化がこれほど違うんだ、と発見があるんですよ」

 

Sodaの旅行では、土井さん自身が楽しむことも大切にしています。自分が行ってみたい場所をリストアップし、その土地の歴史や魅力を紹介するツアーガイド役も担っています。

 

 

 

 

 

挑戦の舞台に選んだのは、縁もゆかりもない総社

 

そんな土井さんが拠点に選んだのは、倉敷でも岡山でもなく「総社」でした。きっかけは、偶然目にしたニュース。「中四国で最も人口が増えている」「起業誘致や福祉に力を入れている」という情報に触れ、「外からの受け入れに前向きで、高齢福祉とも相性が良さそうだ」と感じたといいます。

 

起業を決めて最初に相談したのは、総社市の移住・創業サポートセンター「S-スタ」でした。担当の山西さんが資金計画や物件探し、役所への手続きまで丁寧にサポート。「まさに影の立役者。こんなにやってくれるの?と、感謝しかありませんでしたね」と土井さんは振り返ります。

 

そこから、人とのつながりは一気に広がりました。紹介を通じて地域のキーマンたちと出会い、イベントにも参加。「まったく縁のない土地でしたが、皆さんがウェルカムで、応援し合う空気がすごい」と実感したそうです。

 

開業に向けて挑戦したクラウドファンディングでは、200人以上から支援が集まり、約500万円を達成。「ここを潰すわけにはいかない。絶対に続けなければ」と決意を強めるきっかけになりました。

 

「もし岡山や倉敷だったら、全然違ったやり方になっていたと思います。総社は外からの人も多くて、いい意味でごちゃ混ぜ。挑戦しやすいまちですね」

 

 

 

 

 

 

介護を起点に、心が動くまちをつくる

 

Sodaを通して、土井さんは「まちづくり」を意識するようになったといいます。駄菓子屋や本屋、市民向けのライター講座や結婚式、披露宴の会場など——Sodaの空間を多目的に活用することで、地域の人々との接点が自然に増えていきました。その一つひとつの経験が、土井さん自身の「まちに関わる実感」につながっていきました。

 

Sodaを運営する合同会社28の理念は「介護を起点に 心が動く まちをつくる」。多くの介護事業所が掲げる「寄り添うケア」を最終目的とせず、あくまで通過点として位置づけています。介護は出発点であり、最終的なゴールは高齢者だけでなく、地域のあらゆる世代が介護に触れ、柔らかで優しい関係性を育むこと。そこに土井さんの熱い思いがあります。

 

「まちづくり」という言葉を、最初から意識していたわけではありません。事業を続ける中で総社のまちの雰囲気を肌で感じ、自分の思いを言葉にするうちに——「これはまちづくりなんだ」と自然に定まっていったのだそうです。

 

どの世代の人も、自分が住むまちで、不安なく、そして少しワクワクしながら暮らせるように。Sodaの存在を「なんとなく知っている」という人が増えるだけでも、介護への漠然とした不安や偏見がやわらぎ、地域全体の安心感につながると土井さんは考えています。

 

 

 

 

 

 

成長と挑戦を繰り返し、まちに広がる新しい風

 

開業から1年を振り返り、土井さんが最も強く感じているのは「成長」です。

 

「個人として大きく成長できたと感じていますし、成長しなければならないと常に意識していました」

 

日々の経験を通して、自分の知らないことの多さを痛感することも多く、まさに“無知の知”を実感する日々だったといいます。

 

スタッフの成長も目覚ましく、「特に最初は負荷をかけてしまった部分もありましたが、利用者さんとの関わりやチームのマネジメント、タスク管理などの面で、大きく成長してくれました」と笑顔で語ります。それぞれの強みを活かすことも大切にしており、ものづくり系は土井さんが担当し、本屋は中山さん(Soda管理者)が中心に運営するなど、スタッフがそれぞれの特性を発揮できるように、チームの個性を尊重した運営を心がけています。

 

2年目の目標は、まずデイサービスの稼働率を高めること。現在は6割程度のため、「できるだけ多くの方にご利用いただき、待ちが出るくらいの状態にしたい」と意気込みます。

 

さらに、介護事業の拡充にとどまらず、新たな事業の柱づくりにも挑戦する予定です。「毎年1つは新しい事業に取り組みたい」と、これまで培ってきた好奇心と挑戦心を胸に、土井さんは歩みを進めています。

 

 

 

 

 

「自分にとって分身のようなSoda。これからどう展開していくかは正直まだわかりませんが、楽しみながら挑戦を続けていきたい」と語る土井さん。

 

一人ひとりにさりげなく寄り添う優しさと、日常に小さなワクワクを添える力。デイサービスSodaから広がる輪が、総社を誰もが安心して暮らせるまちへと導いていく未来は、きっとそう遠くありません。

土井さんから、創業を考えられている皆様へ
まずは、S-スタに相談されることをおすすめします!
総社は本当に優しい方々ばかりで、非常にチャレンジしやすい場所だと思います。人と人、情報をつなげてくれる力もあり、ビジネスライクな対応ばかりではありません。何か新しいことに挑戦したい方は、まず総社で始めてみるといいと思います。大都市すぎず、極端に地方でもないため、とてもやりやすい環境です。
サポート体制も整っていて、市の制度も活用できます。たとえば、私たちも利用した「そうじゃ商人(あきんど)応援事業補助金」では、1年以上空き家になっている物件を活用した新規事業に対して、最大50万円の補助が受けられます。市の課題と起業したい方の思いをうまく組み合わせた制度です。こうした支援をうまく活用しながら、まずは一歩を踏み出してみてほしいです。

デイサービスSodaのホームページはこちら