徳島県出身の森亮介さんは、川崎医療福祉大学入学をきっかけに倉敷市に移住。 その後就職でいったん岡山を離れますが、転職をきっかけに平成23年に総社市に転入。 現在は倉敷市の法律事務所で社会福祉士の仕事をいかした職に就いておられます。 仕事のかたわら、総社市内の市民活動にも参加。 仲間と3人でグループ「MONJU no CHIE(もんじゅのちえ)」を立ち上げ、さまざまな活動を展開しています。 森さんが市民活動を始めることになった訳は。 そのベースとなる「MONJU no CHIE」とは。 森さんにこれまでのこと、これからのこと、総社での暮らしなどさまざまなお話をうかがいました。
些細な疑問が市民活動の原点に
総社市に移り住んで13年。 現在、森さんは奥様と小さなお子さんと3人で総社市街地に暮らしています。「総社市は街の人口も距離も、そのスケール感がちょうどいいですね。 市長さんがパワフルでどこよりも先駆けていろいろなことに取り組んでいるためか、街には活気があるし、こだわりを持った店も多い気がします。 街を歩けばお気に入りの店の店主と顔を合わせたり、好きなバーで知り合う人はみな総社の人だったり。 このホーム感がいいですね。」
森さんの総社ライフをさらに楽しくさせているのは市民活動。問題意識が高く、何か疑問に思うことができたらそのままにはしておけない性分だそうで、日々のさまざまな「?」がその活動の原点になっています。
「僕が市民活動を始めることになったのは社会福祉士という仕事がきっかけです。 社会福祉士は病院や施設などに所属していますが、基本1人で孤独なことが多いんです。 岡山県には『社会福祉士会』があるものの、市単位でそう言った団体はない。 ならば総社市で『社会福祉士会』を作り、横のつながりを作ればいいと思って平成27年に声をかけあって仲間を集めて立ち上げました。」
同じ頃、森さんは岡山県社会福祉協議会主催の「『無理しない』地域づくりの学校」に1期生として参加。 そこでは参加者がやってみたいことをテーマに「マイプラン」として作成。 参加者の前で発表し、対話しながらブラッシュアップ、そして言語化していきます。 森さんはちょうど立ち上げたばかりの「社会福祉士会」の運営をテーマに選んだのですが、この勉強会を通じて物事の本質を見ること、問題意識を持つことがいかに大切かを学んだといいます。
人前で話すことが苦手でしたが、その後すっかり克服。 自分の言葉で伝えられるようになると次第に人の輪も広がり、ケーブルテレビの審査員、市役所建て替えに関するワークショップ委員などいろいろな方面から声がかかるようになったそうです。
仲間と「MONJU no CHIE」を立ち上げる
その流れで平成29年には総社市総合政策部が企画した「そうじゃ若者塾」に参加。 そこで出会った2人の仲間たちと意気投合し、令和2年市民活動グループ「MONJU no CHIE」を立ち上げることに。 理念は「醤油の貸し借りができるまちづくり」。 困ったときに気軽に相談したり頼りあったりできるよう、人と人、団体と団体、人と行政などをつなぎ、地域の関係をつむぐ場所を作りたいとの思いを形にしたのです。
そしてここをベースにさまざまな活動を展開。 身近で気になる地域課題をマイプランとしてまとめて発表する「そうじゃチャレンジラボKUWADATE(くわだて)」、さまざまなバックボーンの人が集まって交流する月1回飲み会「そうじゃ若者寄り合い」、全国で活躍する人と総社の実践者を招いてオンラインで行う勉強会「寄席」、そして月1回のラジオ番組「3人寄ってモンジュのラジオ」といった活動が現在進行形で進んでいます。
2023年の今年は3回目のそうじゃチャレンジラボKUWADATEを企画中です。
「KUWADATE」や「寄合」に参加するのは主に20代から50代の人たち。 最近は、何かしたいけれど何から始めていけばいいのか、誰とつながればいいのか分からないという人たちの参加が増え、少しずつ認知が広まっている実感があると話す森さん。「『MONJU no CHIE』の役割は中間支援を行うこと。 市民や団体、行政などいろいろなもののパイプ役となり、もっとみんながつながっていくことが理想。」とその思いを話します。
街をもっともっと活気づけたい!
森さんが市民活動を行うモチベーションは何なのでしょう。 それは「『無理しない』地域づくりの学校」で学んだ「物事の本質を大切にする=問題意識を持つ、ということ。 例えば、若者が政治参加しないのはなぜ?という疑問が湧いたなら「政治がわからないから参加しない。 ならば楽しく触れることができるイベントを企画すればいい。」という具合に、問題の解決策を見つけたいという思いが原動力になるのだそう。
さらに、「自分が旗振り役になって行えば、もっと活気づくのではないかという思いもあります。 そうすることで、どんどん人がつながっていくのも楽しい。 僕にとって市民活動は趣味みたいなものです。」
今後は「過去2回、市民提案型事業として総社市の補助金を得て実践してきた『そうじゃチャレンジラボKUWADATE』を、次は自主財源で運営していきたい。 そのために古本を回収販売して財源を確保するという活動をすでに始めています。また、今年7月にはマルシェイベントを開催予定です。 今まで『そうじゃチャレンジラボKUWADATE』に参加した卒業生に出店してもらい、自らの発表の場として使ってほしい。」と意欲的な森さん。
そのポジティブマインドでますます総社市を活気づけてくれることを期待しています。
<記事掲載日:2023年6月19日>